【部下を呼び捨てにしていませんか?】
~信頼なき呼び捨てが職場に与えるリスク~
■なぜ「呼び捨て問題」が注目されているのか?
以前、「部下を呼び捨てにすること」について記事を書いたところ、予想以上の反響がありました。
今回は、少し視点を変えて、職場での呼び捨て文化について掘り下げてみます。
■呼び捨てが成立する条件とは?
「呼び捨て」は、基本的に親密性や信頼関係が前提にある関係性で成立します。
たとえば:
- 学生時代の部活動
- 長年の友人関係
- 上下関係が強く機能している特殊な業界や組織(例:体育会系や一部の職人現場)
こうした場合、「呼び捨て」は成立しやすいでしょう。
■オフィスワークや創造的業務では通用しない?
一方で、一般的なオフィス業務や創造性が求められる職場では、呼び捨て文化は機能しづらいのが現実です。
- プライベートで交流があるわけでもない
- 会話の内容も噛み合わない
- 年齢が上というだけで呼び捨てにする
このような関係では、呼び捨ては不自然かつ不快な印象を与えやすくなります。
信頼が築かれていない状態での呼び捨ては、一方的な上下関係の押し付けになりかねません。
■呼び捨てが生む「情報の非対称性」
特に問題なのが、「信頼なき呼び捨て」が情報格差を拡大させることです。
上司が求める情報と、部下が話したい内容がすれ違うことで、以下のような状態に陥ります:
- 上司:プロジェクト全体の影響を重視
- 部下:今まさに困っていることを伝えたい
このギャップがかみ合わないまま、「さっき言ったよね?」「何度言えばわかるんだ」といった、詰問型のコミュニケーションになっていくケースも少なくありません。
その結果、部下はどうなるか?
- 意見が出せない
- 発言を控える
- ミスを報告しづらくなる
つまり、心理的安全性が低下し、職場の活性化を妨げるリスクが高まるのです。
■呼び捨てが許される組織規模は?
私自身の考えでは、「1チーム=10人以下」程度の親密な規模を超えると、呼び捨て文化は適さないと思っています。
なぜなら、
- 親密感を維持するのが難しくなる
- 飲み会やイベントでカバーしきれない
- 誤解や摩擦が生じやすい
もちろん、プライベートで仲の良い間柄であれば呼び捨ても自由です。
しかし、組織としての関係性であれば、一度立ち止まって考えてみる価値があります。
■まとめ:信頼なき呼び捨ては「パワハラ予備軍」
呼び捨てが成立するには、土台となる関係性・信頼・場づくりが欠かせません。
それを抜きにして上から目線で名前を呼ぶことは、無意識のパワハラや部下の萎縮につながりかねません。
「部下の名前の呼び方」一つで、組織の空気は大きく変わります。
一度見直してみることは、チームの活性化と心理的安全性の確保に繋がるはずです。
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