省力化投資補助金(一般型)は、
「設備を入れればもらえる補助金」ではありません。
実際には、
- 最低賃金の水準維持
- 賃上げ計画の達成
- 事業計画の実現性
- 採択後の継続報告
など、“採択後に守り続ける条件”が多い制度です。
第1回では、テクニックではなく
制度の前提条件と全体像を整理します。
① 最低賃金+30円は「水準維持条件」
公募要領では、
事業所内最低賃金が
事業実施都道府県における最低賃金+30円以上
という要件が示されています。
これは
「毎年30円ずつ上げる義務」ではなく、
“+30円を下回らない水準を維持する条件” です。
最終年度だけ満たせばよいわけではなく、
計画期間を通じて維持していることが前提となります。
② 賃上げ要件は「総額」か「1人当たり」かのどちらか
2026年公募では
「従業員1人当たり給与支給総額 年平均3.5%以上増加」
という表現が前面に出ています。
ただし実務上は、
- 給与支給総額の増加
- 1人当たり給与支給総額の増加
のいずれかを達成する形で判定される設計になっている公募回が多く、
様式上も両方の数値を記載する形式が一般的です。
実務上のポイント
- 採用を増やすと「1人当たり」が下がることがある
- 人数が安定している会社は「総額」が達成しやすい
- 人数変動が大きい業種は「1人当たり」が有利になる場合もある
制度の思想としては、
“賃上げの実態が確認できればよい”という柔軟設計です。
③ 「+30円」と「3.5%」は別軸
ここは誤解が多い部分ですが、
| 指標 | 条件 | 性質 |
|---|---|---|
| 事業所内最低賃金 | +30円以上 | 水準維持 |
| 従業員賃金 | 年平均3.5%増 | 成長率 |
つまり制度は、
最低ラインの確保と、全体の賃金上昇を別々に確認しています。
同じ賃金を二重に見ているわけではありません。
④ 採択後の報告は“一度きり”ではない
この補助金は、
交付決定 → 設備導入 → 実績報告 → 完了
で終わりではありません。
事業計画期間中は、
年度単位の状況確認や最終的な効果報告が求められます。
毎月ではありませんが、
「最後に1回だけ出せばよい制度」でもありません。
⑤ 設備導入=ゴールではない
審査で見られるのは、
- どの業務がどれだけ削減されるか
- 浮いた時間を何に使うか
- 人員配置がどう変わるか
- 売上や利益にどうつながるか
です。
つまり、
「設備購入の申請」ではなく
「経営改善の計画」
が求められます。
まとめ:この補助金は“運用型”
省力化投資補助金(一般型)は、
- 申請がゴールではない
- 採択がスタート
- 数字は後からも確認される
という特徴を持つ制度です。
「通るかどうか」ではなく、
“守り切れるかどうか”で判断する補助金と理解しておくと、
後悔のない検討ができます。



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