PDCAの「P」には2つの意味がある──目標と行動計画を区別しよう
◆PDCAの「P」はひとつじゃない?
「PDCA(Plan-Do-Check-Act)」という言葉を、学生時代に先生の講話で聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、いざビジネスでPDCAを実践しようとすると、「P=計画」って意外と難しいと感じませんか?
実は、PDCAの「P」には2つの要素があります。
- どこを目指すかという「目標(Goal)」
- その目標を達成するための「行動計画(Action Plan)」
たとえば、高校生であれば
「○○大学に入りたい」というのが目標、
「そのために1日5問、問題集を解く」というのが行動計画です。
この関係性は、大谷翔平選手の「目標達成シート(曼陀羅チャート)」にも通じる考え方です。
◆目標があるから行動計画が立てられる
行動計画とは、目標から逆算して作るものです。
たとえば、
- 「○○大学に合格する」
- 「参考書Bレベルを100%理解する」
- 「1日5問ずつ進めて、3か月で完了する」
というふうに、目標からタスクを分解していくことで、具体的な日々のアクションが見えてきます。
ビジネスでも同じで、たとえば四半期ごとにKPIを設定し、目標に対してリソースをどう配分するか、進捗をどう管理するかといった「行動計画」に落とし込んでいくわけです。
◆ぼやけた目標ではPDCAは回らない
しかし、そもそもの「目標」が曖昧だと、行動計画もブレてしまいます。
たとえば「○○大学に行く!」というのが何となくのノリで決められていたら、それに向かう行動も場当たり的になります。
同じように、ビジネスでも「前年比○%売上アップ」「○%生産性向上」など、数字だけが一人歩きするケースがあります。
数字があると一見わかりやすく見えますが、「なぜその数字なのか?」「その成長は誰にとって価値があるのか?」といった本質的な目標設定が抜け落ちていると、計画の意味を失ってしまいます。
◆事業目標は「ターゲット市場」と「ポジショニング」から考える
計画を立てるうえで重要なのは、「どの市場を狙うのか」「どんなポジションを取りたいのか」という視点です。
たとえば:
- 成熟市場でポジションを維持するのか
- 新市場に参入して事業ポートフォリオを変えるのか
こうした戦略的な選択があって初めて、「必要なリソースは何か?」「どのくらいの投資が必要か?」といった逆算が可能になります。
仮に新規市場へ参入する場合、初年度は「売上○%増」ではなく、「新市場での立ち上げ」自体が目標となるでしょう。
テストマーケティングや調査も含めた、柔軟な計画が必要です。
◆個人事業でも計画の考え方は同じ
「それって大企業の話でしょ?」と思うかもしれませんが、計画の基本的な思考プロセスは、個人事業でもまったく同じです。
- 今どんなポジションにいて
- どこを目指したくて
- 現状のままでいいのかどうか
- それをいつまでに実現するのか
こうした問いを立てていくことが、しっかりとした「目標設定」になります。
「Do=実行」の場面では勢いや直感が入ることもありますが、計画段階ではむしろ冷静な仮説思考が必要です。
「どんなポジションを取りたいのか?」「価格決定権を持てるか?」といった戦略的な問いが、後の行動計画をより意味あるものにします。
まとめ:PDCAの「P」は“目標”と“行動計画”に分けて考えよう
- 計画(Plan)は「目標」と「行動計画」に分けて考えるべき
- 行動計画は目標からの逆算で作る
- 目標が曖昧だと行動もブレる
- 「誰に」「どの市場で」「どんな価値を提供するか」を明確に
- 小規模事業でも思考プロセスは同じ
PDCAを本当に機能させたいなら、「計画=目標+行動計画」という意識を持ち、目標の質から見直していくことが大切です。
※ご相談はお気軽に。
コメント