PDCAの「P」は仮説?計画?──計画はすべて仮説である
◆PDCAの「P」は何を指すのか?
ビジネスや教育現場でよく登場する「PDCAサイクル」。
その最初のステップ「P」は、一般的に「Plan=計画」と訳されますが、実際には「目標設定」と「行動計画」の両方を含んでいます。
たとえば、「どの大学に行くか」を目標にし、「そのために何をするか」が行動計画です。
でも最近では、「P=仮説(Hypothesis)」という捉え方も注目されています。
◆計画は仮説にすぎない
PDCAの「P」を深掘りしていくと、そこには「仮説的思考」が必要だという考え方に行き着きます。
たとえば、新しい開発手法を導入する場合、それが「うまくいくだろう」という仮説のもとに行動が始まります。
- ウォーターフォール開発からアジャイルへ
- オブジェクト指向の導入
- プラットフォーム戦略の採用
いずれも「まずやってみて、うまくいくか試す」という意味で、計画は仮説であるといえます。
◆「Do」から始まるPDCAもある
理想的には「計画→実行」ですが、現実には「まず実行(Do)してみる」という場面も少なくありません。
特に流行の手法を導入するときなどは、計画があいまいなままスタートしがちです。これは“どんぶり勘定”的な計画で、「チェック(Check)」や「改善(Action)」につながらない失敗例になりやすい。
ただし、「まず試す」こと自体は悪くありません。
大切なのは、「仮説として実行してみた結果を、きちんと検証し、改善に活かす」ことです。
◆「仮説→実行→検証→改善」の意識が鍵
たとえば「このプラットフォーム戦略を導入すれば、品質と納期の両方にメリットがあるはずだ」と仮説を立てて取り組んだとします。
もし期待通りにいかなかったとしても、「Check=検証」してフィードバックを受け取り、「Action=改善」につなげれば、それは立派なPDCAです。
問題なのは、結果が伴わなかったときに「それでも成果として報告しなければ」という組織文化。
これでは仮説の検証が形骸化し、改善につながりません。
◆PDCAを本当に回すには?
- 計画はあくまで仮説であると認識する
- 仮説を検証する「Check」を省略しない
- 結果が思わしくなくても、事実を受け止める
- 現場のフィードバックを重視する
「計画にこだわりすぎて行動できない」「実行したら成果報告が目的になる」——そんな悪循環から抜け出すには、「計画=仮説」という柔軟な視点が不可欠です。
素早くPDCAを回す鍵は、失敗も前向きに捉える仮説思考にあります。
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