【プロジェクトマネジメントは「目的達成」だけでは不十分】
~持続可能な組織をつくるマネジメントの本質~
■「プロジェクトを成功させる」だけで満足していませんか?
「プロジェクトマネジメント」とは、当然ながら目的を達成するための手法です。
しかし、それはあくまで最低限の条件に過ぎません。
多くの企業では、一つのプロジェクトが終わっても、次のプロジェクトがすぐに始まります。
つまり、プロジェクトを継続的に回し続けられる“サステナブルな体制”こそ、本当に重要な視点なのです。
もし、プロジェクトが終わるたびに人が辞めていくような状態だとしたら──
それは成功とは言えません。
■よくある“進捗管理マネジメント”の落とし穴
プロジェクトマネジメントというと、以下のような光景が思い浮かぶかもしれません:
- タスクを割り当てる
- 進捗をチェックする
- 目標とのギャップを確認する
もちろん、これらは基本動作です。
しかし、「できるって言ったよね? じゃあやって」というプレッシャー型マネジメントになっていないでしょうか?
このようなマネジメントは、確かに短期的に成果を出すかもしれません。
けれども、その陰で人が消耗し、離職が続くことが多いのも現実です。
■人が疲弊するマネジメントに未来はない
「2:3:3:2の法則」で言えば、どんなにプレッシャーをかけても2割しか本当に伸びません。
そのほかの人材は、潰れるか、黙ってやり過ごすか、離職していきます。
さらに深刻なのは、「うちは人が辞めてないから大丈夫」と思っているケース。
でも実際は、能力や熱意を“活かせていない”=離職と同義です。
そんな中、「生き残ったメンバーが“野武士集団”化している」としたら…要注意です。
この言葉が出てきたら、組織としては危機的な状態かもしれません。
■マネジメントの肝は「ギャップを拾う力」
プロジェクトにおいて、実は最も大事なのは**「ギャップがなぜ生じているのか?」を見抜く力**です。
仕事を「割り当てる」ことで縦割り構造が生まれ、「責任区分」が明確になるのは自然な流れです。
しかし、実際には複数部門にまたがるタスクや、誰の責任でもない“宙ぶらりん”な課題が必ず出てきます。
- システム開発では統合時に不具合が出る
- イベントでは「誰が担当か分からない」工程が生まれる
- プロジェクトが終盤になるとモレが噴出する
このような“割り当てられない領域”をどう管理するか──
そこに、本当のマネジメントスキルが問われます。
■「人に興味がないマネジメント」が崩壊を招く
多くの現場で見られるのが、「できるはずでしょ?」という思い込み。
上司が“借金取り”のように進捗を詰めるだけでは、人はついてきません。
- 情報の非対称性
- ヒトの特性への無理解
- プレッシャー一辺倒の指示
これらが組み合わさると、人は萎縮し、やがて職場から去っていきます。
■人に興味を持つマネジメントが離職を防ぐ
優れたマネージャーとは、単に進捗を管理するのではなく、
「この人、今こんなことに困ってそうだな」
「ここ、誰も見ていないんじゃないか?」
といった感覚を持ち、気づく力がある人です。
そのためには、ヒトに興味を持つことが必要です。
- 正論しか言わなくなる人
- 守りに入る部署
- 逆に、さりげなく「モレ」を拾えるキーマン
こういった人の動きや特性に目を向けることこそが、プロジェクトマネジメントの本質だといえます。
■1on1やチームビルディングは「ツール」にすぎない
最近では、
- 1on1ミーティング
- 自己開示
- 心理的安全性
- チームビルディング
といったテクニックが推奨されています。
しかし、「相手に興味がない1on1」は無意味です。
どんなに形式だけ整えても、人は見抜きます。
■まとめ:サステナブルなプロジェクト運営のために
プロジェクトマネジメントとは、**「目的達成」だけでなく「人を活かし続けること」**でもあります。
成果を出しつつ、人が育ち、辞めずに残る。
そのために必要なのは、ギャップを見抜く力と、人間への関心です。
ぜひ一度、自社のマネジメントのあり方を見直してみませんか?
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