中小製造業が「大手の評価制度」をマネしてはいけない理由

製造業コラム
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「ひがみ」を生まない、ズルい育成術

「そろそろ、うちもちゃんとした評価制度を作ろうか」

中小製造業では、会社がある程度の規模になるとこの話が出てきます。
そして多くの場合、大企業の評価制度を参考にして立派な評価シートが作られます。

目標管理、点数評価、S・A・B・Cランク。
仕組みとしては整っています。

しかし、社員の顔が全員見える規模の会社でこれをやると、
組織はむしろ悪い方向に動くことがあります

理由は単純です。
現場では「制度」よりも人間関係が強く働くからです。


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評価制度が「ひがみ」を生む瞬間

大企業の評価制度は、数百人・数千人の社員を管理するために作られています。
そのため、数値化や相対評価が中心になります。

これは距離のある組織では機能します。
しかし中小企業の現場では事情が違います

同じラインで働き、毎日顔を合わせている。
その環境で給与差が生まれると、現場ではこう解釈されます。

「社長に気に入られてるからだろ」
「課長の好き嫌いだよ」

つまり評価ではなく、人間関係の問題として処理されてしまうのです。

実は、私自身も若い頃に経験があります。

20代で中小製造業にいた頃、会社に急に評価制度が導入されました。
そして私は、自分の評価に納得がいかず、部長に直接くってかかったことがあります。

今思えば生意気な若手ですが、中小企業ではこういうことが起きます。
評価している人の顔が見えているからです。

一方で、大企業ではこういう光景はまず見ません。
評価は個人ではなく、制度として存在しているからです。

ここを理解せずに制度だけをコピーすると、
現場の空気を壊す結果になりかねません。


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金銭で差をつける必要は、実はない

評価制度というと
「評価=給与差」
というのが相場ですよね。

しかし中小企業では、必ずしもそれが最適とは限りません

むしろ

  • 全体としてのベースアップ
  • 社内表彰での差別化
  • 技術者としての称号での差別化

といった形の方が、うまく機能することがあります。

理由はシンプルです。
給与は、基本的に隠すものだからです

どれだけ評価が高くても、給与は外に見えるものではありません。
社員同士でも、正確な額を知ることは少ない。

一方で、資格は違います。
資格は名刺にも書けるものです。

会社の外でも通用し、技術者としての証明にもなります。
つまり
給与は「内側の評価」
資格は「社会的な評価」
なのです。

だからこそ、資格や技術を評価すると、
本人の承認欲求が強く満たされます

「正当に評価してくれる会社」という帰属意識もうまれます

そしてその姿を見た若手が
「自分も挑戦してみよう」と動き始める。

これは給与差だけでは、なかなか生まれない効果です。


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現場技術と資格の掛け算

製造業では、経験と理論が掛け算になります。

例えば機械保全技能士を学べば、
「なんとなく直す」から「理屈で直す」へ変わります。

機械加工技能士をとれば、
加工条件や工具寿命を理解し、勘ではなく、数値で改善を自分で考えるようになります。

つまり、現場の経験に体系的な知識が加わる。

この掛け算が起きると、若手の成長速度は一気に上がります


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経営者は少し「ズルい」方がいい

ここで、経営者として少しズルい考え方をします。

若手に
「会社のために勉強しろ」
と言っても、あまり響きません。

しかし、

「この資格は君の一生の武器になる」
そう伝えると意味が変わります。
昨今クローズアップされているような「キャリアパス」としても使えますよね。

公的資格は会社のものではなく、本人のものです。
転職しても使えるし、技術者としての証明にもなります。

つまり若手は、自分のキャリアのために努力する。

結果として会社には、
技術レベルの高い人材が増える
また、「類は友を呼ぶ」でそういうところで働きたい若手も増え、採用しやすくなります

会社と本人の利益が一致する。
これが中小企業の賢いマネジメントです。


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評価は「過去」ではなく「未来」のために使う

評価制度は、過去の働きに値段をつける仕組みではありません

どこに努力すれば技術者として成長できるのか
その方向を示すものです。

無理に給与差をつけて「ひがみ」を生むより、
技術を伸ばした人をしっかり称える仕組みを作る。

そしてその評価が
本人の誇りや承認欲求を満たす。

そうした環境ができると、現場は
ねたみの職場ではなく、技術者が育つ職場に変わっていきます。

中小企業に必要なのは、立派な評価制度ではありません。
現場の人間心理を理解した、少しズルい仕組みなのです。

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