品質を上げようとすると仕事が増えるという現実
製造業において品質向上は重要なテーマですが、
現場ではしばしばこうした声が聞かれます。
「品質を上げようとすると、余計な仕事が増える」
実際、品質を管理しようとすると
チェック工程や書類、確認作業が増え、現場の負担は大きくなります。
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品質管理部門では品質は作れない
品質向上のために、品質管理部門を設ける企業も多いですが、
ここに大きな誤解があります。
品質管理部門は
- 設計
- 材料
- 製造方法
- 作業者
といったいわゆる**4M(Man・Machine・Material・Method)**を
直接コントロールすることができません。
極端にいうと、本質的にできることは
「ちゃんとやっているか?」を確認すること
にとどまります。
(その中にはテスト実施も含まれる組織もあります)
つまり品質そのものを作ることはできないのです。
品質は各部門で作られる
品質の実態は
- 設計で決まり
- 調達で左右され
- 製造でばらつく
という構造になっています。
そのため本来は
品質は各部門がそれぞれ責任を持って作るべきものです。
しかし組織の壁がそれを妨げる
ここで問題になるのが組織構造です。
- 設計は設計
- 調達は調達
- 製造は製造
と分断されていると、
品質に関する情報がうまく流れません。
その結果
- 設計が悪くても製造でカバーしようとする
- 調達の問題で設計変更が発生する
- 根本的な原因に手がうたれないまま対処が繰り返される
といった非効率が発生します。
歩留まりの問題は部門をまたいで発生する
例えば歩留まり改善を考えた場合でも
- 設計が悪ければ改善には限界がある
- 調達が不安定であれば品質はばらつく
といったように、
単一部門では解決できない問題が多く存在します。
半導体のように「部品調達問題が設計変更に波及し工数が大きく増える」
といったケースは典型例です。
品質管理の本来の役割とは何か
こうした構造を踏まえると、
品質管理部門の役割は明確になります。
それは
品質を保証することではなく、
部門間の“つなぎ役”になることです。
- 設計にフィードバックする
- 調達と情報を共有する
- 製造の実態を伝える
こうした役割を担うことで、
初めて品質は向上していきます。
設計品質は設計が責任を持つべき
特に重要なのが設計品質です。
設計で作りにくいものは、現場では作りにくいままです。
にもかかわらず
- 品質管理がなんとかする
- 現場でカバーする
といった期待がされることがあります。
しかしこれは構造的に無理があります。
設計品質は設計側が責任を持つ
この前提に立たなければ、品質問題は解決しません。
まとめ
製造業における品質問題は、
単一部門で解決できるものではありません。
- 品質管理部門だけでは品質は作れない
- 品質は各部門で作られる
- 組織の分断が問題を複雑にする
そして重要なのは
品質管理は“管理する”のではなく
“つなぐ”役割であるということです。



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