組み込みソフト屋って何ですか?
主にパソコン以外の機器に組み込まれるプログラムですね。
私は凝り性な性格であったため、この世界に入ってきましたが、合わない人は合わない、と思います。「若者に人気か?」というと、そうでもないと私は思います。
ざっと以下のマイナス面を挙げます。
- 要求品質のレベルが異様に高い
- 開発工程が独自
- 様々な技術を本業では使いづらい
- 企業内でポジションが微妙
もちろん、プラス面もありますよ。工場に精通する、とか今となっては良かったと思いますし。
ただ、現場を歩いた人間のマイナスの気付きもそれなりに貴重だと思うので紹介したいと思います。
まず、「要求品質のレベルが異様に高い」ことです。人間の能力を超えているレベルだと思います。
基本、不具合ゼロですね。あり得ないことですが、ゼロです。
市場不具合は必ず起きます。ものすごい量のテストをやりますし、因子をこれでもか、と振ります。
それでも「想定外」「品質評価では起こりえないこと」が発生しますね。
えてして「問題をゼロにしろ」ということになりがちですが、現実的にはなりません。
どう「解決した」という報告にまとめていくか、は根回しも含めてものすごくパワーを使います。
なかなか厳しい状況がありますね。「問題がないことを証明する」「悪魔の証明」にも陥ります。
機器に組み込まれるわけなので、基本は「メーカー技術者」です。
メーカーっていうのは、基本「ハードウェア屋」の世界です。
「工場」で組み立てるものはハードウェアです。
メーカーは量産品で稼ぐわけなので「工場」が中心です。
「工場」が利益の原泉。部品点数をいかに削減するか、電装をいかに効率的に配置するか、いかに調達するか、組み立てラインをどう配置するか、こういうスキルを磨き上げます。
一昔前は、「ソフトウェアはハードのおまけ」という時代がありました。
私がこの世界に入る直前、1990年代ですかね。
経営者は60代、70代の方が多いですから、いまだにそういうところはあります。
さすがに、ここ10年の組み込みソフトウェアの進化、工数の膨大化、AIの登場で「ソフトに力をいれないとまずい」という考えは出ています。
ただ、品質基準は機器文化の為、なかなかつらい状況。
アナログ炊飯器よりも信頼できないデジタル炊飯器は使いたくないですもんね。
車やエレベーターなんかは命にかかわりますしね。
最近は半導体のひっ迫もあるためさらに負荷はあがりつつあり。
CPUやASICを別のものに切り替える、なんてのは、本当に大変な作業です。

『出典:日本経済新聞』
以上のように、「求められる品質がやたらと高い」というのがあります。