製造業では「少量多品種」が当たり前になっています。
顧客のニーズが多様化する中で、製品の種類はどうしても増えていきます。
しかし現場では、こんな悩みが出ていないでしょうか。
- 量産効果が出ない
- 品質が安定しない
- 原価が下がらない
- 設計変更が増える
少量多品種が問題なのではなく、
その対応の仕方に問題があるケースが多いのです。
今回は、少量多品種でも利益を出すための考え方として
- モジュール化
- デカップリングポイント
- パレートの法則
という視点から整理してみます。
少量多品種がうまくいかない会社の特徴
少量多品種がうまくいかない会社には、共通点があります。
それは
毎回設計が変わること。
例えば
- 部品構成が毎回違う
- 図面が都度変わる
- 工程も変わる
こうなると
- 生産効率が上がらない
- 品質が安定しない
- 原価が下がらない
という状態になります。
つまり少量多品種=利益が出ないという構造に陥ってしまいます。
モジュール化という考え方
少量多品種を成立させるための重要な考え方がモジュール化です。
モジュール化とは
共通部分を作り、組み合わせで製品を作る設計思想です。
例えば
- ベース部分は共通化する
- オプションで差別化する
- 組み合わせでバリエーションを作る
こうすることで
- 設計の安定
- 品質の安定
- 生産効率の向上
が期待できます。
少量多品種でも量産に近いメリットを出すことができます。
ラーメン屋さんのメニューをイメージするとわかりやすいかと思います。
デカップリングポイントが重要
もう一つ重要なのがデカップリングポイントです。
これは簡単に言えばどこまで見込みで作るかという考え方です。
製造業では
- 見込み生産
- 受注生産
のバランスが重要です。
例えば
- ベース部分は見込み生産
- オプション部分は受注後に対応
という形にすると
- 在庫リスクを抑えながら
- 生産効率を維持する
ことができます。
この分岐点がデカップリングポイントです。
ロングテールとパレートの法則
少量多品種を考えるとき、ロングテール戦略という考え方があります。
ECサイトでは、多くの商品をそろえることで売上を作る戦略です。
一方で経営ではパレートの法則(80:20の法則)があります。
これは
- 売上の8割は2割の商品から生まれる
- 利益も上位の商品が稼ぐ
という考え方です。
一見すると
- ロングテール(商品数を増やす)
- パレート(売れる商品は限られる)
は矛盾しているように見えるかもしれません。
しかし、そうではありません。
モジュール化でロングテールを支える
モジュール設計では
- ベースとなる共通モジュール
- 組み合わせるオプション
という構造になります。
このとき利益の土台となるのはベースモジュールです。
つまり
- 上位2割のモジュールが
- 製品全体の利益を支えている
という構造になります。
一方でオプションの組み合わせによって多くの製品バリエーションを作ることができます。
これはモジュールでロングテールを支える構造とも言えます。
設計思想が営業を決める
この考え方は設計だけの話ではありません。
営業にも影響します。
設計思想がない会社では
営業は「新しい仕様で作れます」という提案になります。
その結果
- 毎回設計変更
- 原価が下がらない
という状態になります。
一方でモジュールという設計思想がある会社では
営業は
「この組み合わせで対応できます」
という提案ができます。
つまり設計思想が営業のスタイルを決めるのです。
少量多品種は設計思想で決まる
少量多品種はこれからの製造業では避けられません。
しかし
- モジュール化
- デカップリングポイント
という考え方を整理することで効率と多様性を両立することができます。
重要なのは
どこを共通化し、どこで差別化するかという設計思想です。
この視点で製品構成や原価構造を見直してみると、
少量多品種の見え方が少し変わってくるかもしれません。
モジュール化やデカップリングポイントを考えることは、
設計だけでなく生産や原価管理の見える化にもつながります。
そのための仕組みづくりや設備投資を検討することも、
これからの製造業では重要なテーマになっていくでしょう。
30年以上の製造業経験と現場視点から
工場改善や補助金活用についてご相談をお受けしています。



コメント